スキルアップ>技術士補H19>2-1〜
2-7
次の技術者Aと技術者Bとの対話において、[ア]〜[ウ]に入る語句の組合せとして適切なものを(1)〜(5)の中から選べ。
A: 今から20年ほど前、正確には21年前かな、 1986年にアメリカと旧ソ遮でそれぞれ大きな事故があったけれど覚えているかな?
B: 僕は当時2歳だったので、事故自体の記憶はありません。でも、昨年はちょうど20年目ということで、その2つの事故の特集番組が組まれていたようですね。
A: で、どんな事故だったかな?
B: アメリカのコロンビア号の事故と、旧ソ遮のチェルノブイリ原発事故ですね。
A: いやいや、コロンビア号の空中爆発は2003年だよ。 1986年はチャレンジャー号の爆発事故だろ。
B: あ!そうでした。実はコロンビア号事故の方はよく覚えていまして、受験勉強をしながらテレビで見たのですが、工学部を志望する者として、事故原因がとても気になり、毎日、新聞を切り技いていました。今でも特っています。チャレンジャー号事故とコロンビア号事故には、打ち上げ時と、帰還時という違いがあるものの、事故原因に関しては類似した面があるという新聞記事がありました。
A: 受験勉強をしながらテレビか。まあいい。それで、どんな記事だった?
B: たしか、「沈黙の安全]ということが書かれていました。記事によると,NASAには、飛行管理者が技術者の上に立つ階級制が隠然と存在し、飛行管理者らが「安全だ」とする以上、技術者は不安をロにしにくく、結果として「安全」という見方が広がる。この点が、2つのスペースシャトルの事故に共通している、言い換えると、チャレンジャー号事故の時に指摘されていた悪しき風土が改善されていなかった、ということだったと思います。
A: そのとおり。コロンビア号事故調査委員会の報告書は、シャトルの安全な飛行の物理的問題の他に、事故の[ ア ]についてもかなりのページを割いているんだ。
B: あ、それは知っています。要するに、技術者だらけ、コロンビア号の左翼が焼け落ちて、宇宙飛行士たちの生命を奪う危険性について懸念を抱いていたけれど、NASAでは、安全情報に関して上層部との[イ]が妨げられていて、技術者による専門的意見の伝達が抑圧されてしまったというわけですね。
A: 君が切り技いた新聞記事ではそれを「沈黙の安全」と呼んでいるわけだ。
B: で、その2つの事故をチェルノブイリ原発事故と比べてみると何か大切なことが見えてくるのでしょうか?この原発事故でも「沈黙の安全」ということがあったのでしょうか?
A: アメリカと旧ソ連とではいろいろと事情は違うだろうがね。旧ソ連の場合、現場の技術者が懸念を抱いていたとしてもそれを表明するのは難しかったのではないだろうか。へたをするとシベリアでの強制労働が待っていたりしてね。もし彼らが上司や上層部に対して全く意見を述べられないのなら、あまりにも深刻な「沈黙の安全」ということになるよね。一方、アメリカそして僕たち日本の技術者は、現在、もっと自由な社会に住んでいて、そのことをとてもありかたく思う。会社にはそれぞれの社風とか文化とか伝統とか、いろいろと違いがあると思うけれど、我々は、旧ソ連の技術者と比べると格段に自由が保証されていると思うんだ。そして自由であるということは、よく言われることだが、それだけ[ウ]を伴うんだ。技術者として懸念を表明するという選択肢のない社会では[ウ]が技術者に押しつけられることがあっても、基本的には上の人間の[ウ]であると思う。しかし、だからといって自由主義社会が完全であるかといえば決してそうではなくて、例えば技術者が倫理的行動をとったときに不利益を彼らないような社会システムが、日本でももっと整ってほしいと思うけどね。
B: そうですね。今日はよい勉強になりました。[イ]を促進するためにも、今後もときどきこうした話をしましょうね。 ア…イ…ウ
(1)組織的原因…妥協…快楽
(2)組織的原因…意思疎通…責任
(3)科学的原因…意思疎通…失敗
(4)科学的原因…妥協…快楽
(5)科学的原因…妥協…責任
解答例